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  • 矢作ルンドベリ智恵子

スウェーデン、世界の若者を動かした16歳


3月15日、ヨーロッパをはじめ日本を含むアジアなど120カ国以上の若者たちが一斉にデモを行った。彼らが求めたのは、深刻化する気候変動問題への解決策。このデモのきっかけを作ったのが、スウェーデン人の高校生グレタ・トゥンベリさんだ。

始めはたった一人

彼女は昨年の夏以降、気候変動の対策を求めるため、毎週金曜日学校を欠席。国会議事堂の前での座り込みを始めた。当初、たった一人だったこの座り込み運動は、時を追うにつれて参加者や賛同者が増加。今では世界中の若者を中心に多くの人々を動かすまでに至った。この運動は「Friday For Future」、日本では「未来のための金曜日」と呼ばれ、ソーシャルメディアで若者たちの間に広がっていった。

グレタさんは3月15日にスウェーデンの国会前で行われたデモで語気を強めて次のように訴えた。

「私たち若い世代は、気候変動の原因には直接関与していません。たまたまこの時代に生まれてしまっただけ。これからはこの重大な危機に立ち向かっていかなければならないのです!」

このストライキは、スウェーデンが地球温暖化の深刻な被害を避けるため、全ての参加国が温室効果ガスの排出削減に取り組むことを定めた国際協定である「パリ協定」が定める目標を満たすまで続けるという。

気候変動問題は「黒」

グレタさんがこのような活動をするきっかけとなったのは、8歳の時。気候変動の危機について知ったのだ。気候変動の原因でもある温室効果ガスは、人為的要因が関わっていることを授業で学んだ。そのためには、二酸化炭素(CO2)を始めとする温室効果ガスの排出量を減らすことが必要で、具体的に「電気の無駄遣いをやめる」ことや「物はできるだけリサイクルをする」などが求められることを教わった。加えて、「飛行機に乗ることも環境負荷になる」ということも学んだ。ところが、現実には少なくない大人がこの教えとは矛盾した行動をしていることに、彼女は気付いてしまう。結果、納得のいかないジレンマに陥ってしまった。

グレタさんはこの問題についてさらに深く調べていく。そして、気候変動が地球、そして、そこに住む全ての生物にとって大きな影響を与えるとても大きな問題だということを改めて認識する。11歳のときにはこの問題を切実に考えるあまり、食事もとれず、学校にもいかず、人と話をすることもしなくなった。体重も2カ月で10キロ落ち、入院寸前まで衰弱した。

彼女にはアスペルガー症候群という発達障害がある。そのため、通常の人よりも物事を黒か白かにはっきり区別してしまう傾向が強いという。彼女にとってこの問題は、明らかに「黒」であり、今後の未来、これから生まれてくるであろう子供たち、孫たちの世代を揺るがす危機的な事態であり、一刻も早くなんとかしなければならないとデモで訴えている。

若者のシンボル

グレタさんは、昨年の冬にポーランドで開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議や今年1月にスイスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、〝大人たち〟の無策を厳しく指弾した。その後も欧州連合(EU)の会議に招待された彼女は、今、気候変動の対策を求めるために行動をおこした若者のシンボル的存在となっている。

4月1日付のツイッターでは「気候変動について多くの指導者たちが、この危機に対応していることがわかったので、学校ストライキを辞めて学校に行くことにしました! 金曜日のストライキはこれでおしまいです」とつぶやき、一瞬、世間をドキッとさせた。

もちろん、これはエープリルフールのジョークだったが、このコメントを政治家はどう受け取ったのだろうか。

一人の高校生の行動がきっかけで世界中に広まった子供たちの抗議行動。これが、政治家や企業家にどのような影響を与えていくのか、これからの動きに注目したい。

「共同通信社、世界から」(2019年4月9日掲載)

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