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  • 矢作ルンドベリ智恵子

ストックホルム、進むEVシフト


スウェーデンでも近年、頻繁に電気自動車(EV)を見るようになった。EV普及先進国として知られる隣国のノルウェーには及ばないものの、普及率は急速に伸びている。スウェーデン自動車協会のデータによれば、新車販売車数に占めるEVのシェアは、2021年までに全体の25%まで伸びると予測されている。大気汚染の原因となるガソリン車、ディーゼル車にはさらなる走行規制がかかる中、首都ストックホルムの街には、ユニークなEVがお目見えしている。

ポッドタクシー

およそ1年前にストックホルムの中心街に、「Bzzt(ブズー)」という名のちょっと変わったタクシーが登場した。タイでおなじみの「トゥクトゥク」とよく似た3輪自動車のこのタクシー。実はEVだ。

ブズーはポッド型と呼ばれる小型車両で、専用アプリを使えば手軽に予約できる。スウェーデンのクリーン・モーション社製で3人乗り。そのキュートなデザインも相まって街行く人たちの目を楽しませている。

気になる料金だが、1メートルあたり3オーレ。100オーレが1スウェーデン・クローナ(SEK)なので、1キロ走れば30SEK(約370円)になる。これは、通常のタクシーを利用した場合の半額だ。電話で予約する必要はなく、初乗り料金などもない。車が小さいので使用する電気も少なく、エネルギー効率もとても良い。

使用する電気は、スウェーデンの自然保護協会の「環境認証マーク」を受けている。これは風力や太陽光などといった再生可能なエネルギー源から作られた電力が対象で、その認証ラベルがブズーにもついている。加えて、車の整備や保険にかかる経費なども、従来のタクシーと比べ5分の1しかかからないという。環境への負荷だけでなく、コスト面でも優れているのだ。

ブズーの代表であるスヴェン・ウルフ氏によると、ポッドタクシーの特徴として次の四つの点を挙げている。(1)利用者にとって、安くて手軽であること(2)環境にやさしい車であること(3)同社で働くスタッフの労働協約がしっかりしていること(4)事業の資金はクラウドファンディングで集めており、出資した人たちが所有権を持っていること―だ。

同社のサステナブルな事業は、社会の持続可能な発展に大きく貢献している。必要な時に手軽に利用できるポッドタクシーが公共交通の代わりとして今後、スウェーデンの街中でさらに広がっていくことに期待したい。

自走EVバスも登場

この試みに加え、北欧初となる自走EVバスの試験運行も今年1月から始まった。多くのIT企業が集まることからスウェーデンのシリコンバレーともいわれるエリアで平日の午前7時から午後6時まで行われているこの試験運行では、2台の小型バス(12人乗り)が時速12キロで駐車禁止となっているメイン通りの1.5キロを往復する。6月までの試験期間中は無料で乗ることができ、実際にエンジニアや住民など一日約200人から300人が利用しているという。

自走EVバスにはハンドルはなく、運転手もいない。ただし、緊急時などの安全確保のため操作する係員が一人乗っていて、乗客からのいろいろな質問に気さくに答えてくれている。どんなときに操作が必要になるのか聞くと「この道は駐車が禁止されているけど、タクシーや商業車が路肩に止まっていることが多い。そうなると、センサーが反応してバスは停止してしまう。バスは周りにある障害物がなくならないとずっと止まったまま。そうなったら、私が手動で操作することになるんだ」と教えてくれた。

水色と緑のパステルカラーでデザインされたかわいらしいバスは現在、このエリアにおける一種のアトラクションにもなっていることもあって好評だ。試験運行終了後は、ストックホルム郊外のバルカビィ地区で自走EVバスを運行させる計画になっている。その際はバスを6台に増やすほか、実際の走行を想定し時速も今より早い30キロ程度になる予定という。完全な無人バスとしてスタートするまでの課題は少なくなく時間もかかりそうだが、実現してもらいたい。

「共同通信社、世界から」(2018年5月9日掲載)


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