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岩下慶一:日本でも増えるビーガンを悩ませているものは? 食品表示が曖昧、消費者庁に嘆願書も


ビーガンフード ©︎George N


「ビーガン」と呼ばれる人々がいる。「菜食主義者」とも訳されるが、正確には「動物に由来する製品をまったく摂取しない人々」のことだ。ちなみにビーガンはベジタリアン(菜食主義者)の英単語のつづりを短縮した言葉。語源のラテン語「ベジタス」には「健全な、活気のある」との意味がある。


ここ10年間で6倍となり、今では2千万人のビーガンがいるとされる米国を筆頭に、その数は世界中で年々増加している。その一方で、彼らを取り巻く環境は十分に整備されているとは言いがたい。


特に、日本における食品表示の曖昧さは、日本を訪れる、あるいは日本で生活するビーガンにとって、頭痛の種となっている。日本で流通している食品の原材料表示に関する改善運動を進めている米国人レイチェル・ルーカスさんへのインタビューを通じて、世界におけるビーガニズムの実態と、日本の現状をリポートする。


ルーカスさんはカリフォルニア州出身。2004年に日本語を勉強するため来日した。在住歴は15年に及ぶ。現在は東京都内の大学に勤務している。日本を愛し日本文化に浸りきっているルーカスさんだが、日々の生活で一つだけ大きな問題がある。長年ビーガンとして生きている彼女にとって、日本におけるビーガンの認知度の低さがさまざまな困難を生んでいるのだ。


―そもそもビーガンとはどんな人々なのでしょうか 。

「ビーガンの発祥は75年前にさかのぼります。1944年、イギリス人のドナルド・ワトソンが『動物を搾取することなく生きる』ことを目的に掲げたビーガン協会を英国で設立しました。その根本には(人以外の生物に対する差別を意味する)『種差別』に反対する精神があります」


―ビーガン向けの料理を提供する店が増えるなど、日本でもビーガンは知られるようになっています。その一方でベジタリアンの極端な例といった認識も根強くあります 。

「ビーガンにはさまざまな誤解がはびこっています。ベジタリアンもビーガンも魚は食べられると思われていますが間違いです。どちらも動物の肉はまったく食べません。両者の大きな違いは、ベジタリアンは動物の肉だけを避けるのに対し、ビーガンは『動物からいかなる搾取もしない』という理念のもとに、動物から派生する製品、牛乳、卵、蜂蜜なども忌避の対象にしていることです。本当のビーガンは、畜産から生まれる製品はすべて使いません。したがって、ウール製の服も着ません」


―そうしたライフスタイルを貫くのはかなり大変では?

「動物由来のものを極力排除しますから、一つ一つの製品を細かくチェックしなければなりません。それでも完全なビーガン生活を貫くことは困難です。例えばいなり寿司などはビーガン食品に思えますが、コンビニエンスストアで販売されているものの中には魚粉が使われているものがあります。これはビーガン食品とは言えません。昆布おにぎりなどにも魚粉が含まれているものがあります。この他にも、ビーガン食品と思われるものに動物由来のものが含まれていることは多々あります。動物性のものを完全に排除するのは本当に大変です」


―このような現状への対策は?

「日本では原材料の表示に『その他』といった曖昧なものが多いので、調査した情報を共有するウェブサイト『イズ イット ビーガン?(ジャパン)』=https://isitveganjapan.com=や、ビーガン料理を提供しているレストランのリストを載せているサイト『ハッピーカウ』=https://www.happycow.net=などを閲覧してチェックします。私自身、『イズ イット ビーガン?(ジャパン)』にボランティアで寄稿しています」


―ビーガンとして生きることは非常に大変そうですね 。

「そうですね。ただ、米国に限って言えば、認知度が上がるに従ってビーガンを取り巻く環境は年々改善されています。例えば、多くのレストランがビーガンのためのメニューを少なくとも一つは用意するようになりました。また、ビヨンド・ミートやインポッシブル・フードなどの代替肉(フェイクミート)を生産する企業が急伸しています。さらには、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどのファストフードさえも、代替肉を利用したメニューの販売を検討しています」


―日本の現状は遅れているのでしょうか?

「日本でも、素晴らしい品質の代替肉がたくさん作られています。代替肉の唐揚げなどは『素晴らしい』の一語です。ただ、ビーガンに対する注目度が低いため、そうした情報が大きく取り上げられないのです。また、レストランなどでも本当のビーガンフードを置いているところはごく少数です。必要なのは、ビーガンとは何かを人々に知ってもらい、ビーガンとして生活できる環境を整えていくことです。」

状況を改善すべく、ルーカスさんはこの問題に関心を持つ人々とともにビーガンの認知度を上げることを目的とした団体「日本ビーガン表示&選択肢向上プロジェクト」を立ち上げ、積極的に活動している。


―具体的にはどんなことが必要ですか?

「まず、食品の表示システムを変えることです。『日本ビーガン表示&選択肢向上プロジェクト』では消費者庁に嘆願書を提出。(1)食材の原材料表示を明確にすること(2)ベジタリアンやビーガンの製品にラベルをつけること(3)レストランなどでもそれらのメニューにマークを表示すること―などを提案しました。プロジェクトを支持する署名も、短期間のうちに6千人集まりました」


こうした動きは着実に実を結んでいる。11月6日には自民党の河村建夫元官房長官を会長とする超党派の議員が「ベジタリアン/ビーガン関連制度推進のための議員連盟」(ベジ議連)を立ち上げた。来年の東京五輪を控え、訪日するベジタリアンやビーガンにとってより良い環境を整えることが狙いだ。


河村氏も次のような意欲を口にする。


「もてなしの精神がビーガン、ベジタリアンにも発揮できるように全力を尽くしていきたい」


ルーカスさんは、ビーガンの今後についてこう話した。


「日本に住む、あるいは日本を訪れる外国人はかつてないほど多くなり、ビーガンの数も増加しています。統計によれば、一年間に訪日する外国人のうち、ベジタリアンやビーガンは150万人近くもいるそうです。実際、『日本を訪れたいが、料理を食べられるかどうか心配だ』という声も寄せられています。日本の食品業界が表示の仕方を少し改善してくれたら、彼らの日本体験もより充実したものになるでしょう。そしてそれは、訪日外国人と日本社会の双方にウィンウィンをもたらすものだと信じています」(東京在住ジャーナリスト、岩下慶一=共同通信特約)


【共同通信47ニュースから転載】2019/12/3 12:30 (JST)

https://www.47news.jp/4280225.html



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